懐かしい漫画たち

数ある週刊少年ジャンプ連載陣の中で、かなり異質(だと思います)なこの作品。物語はというと、幼い頃に母を失った久遠真(14歳)と、これまた幼い頃に父を失っている香瀬麻琴(14歳)が、親の結婚を機に、幼なじみの関係から兄妹の関係になってしまうという、まさに「それ何てエロゲー?」的なお話です。読んでいた当時は気づきませんでしたが、いま考えるとあだち充「みゆき」の変則パターンですね。
いちご100%のようなパンチラ要素があるわけでもないし、スポーツモノでもない、当時小学生だった私でさえ「掲載誌間違ってないか」と思うほどの爽やか青春漫画でした。少年誌らしくない繊細な絵柄と、優しい感じのストーリーが気に入って読んでいましたが、ジャンプの打切り法則が発動し11話で連載終了。ただ、強い物語性があったわけではないので案外、最終回もきれいに収まっていました(恋愛関係はうやむやに終わりましたけど)。
単行本には本作の他に読切作品がいくつか掲載されているのですが、その中でも「風と緑の子守歌」がお気に入り。91年に連載開始して完結したのが2001年と、帯に書かれた通り完結に10年かかった作品。絵柄や構図を重視したせいか「漫画」としては読みにくいページもありますが、それでも「本当に14年も前に描いた漫画?」と不思議に思うくらい絵の完成度が高いです。もちろん話の内容も文句なし。
七つの海―岩泉舞短編集 (ジャンプコミックス)

七つの海―岩泉舞短編集 (ジャンプコミックス)

隠れざる名作。結局、岩泉舞という漫画家の作品はこの一冊だけになってしまいました。いつになったら「COM COP」の連載が始まるんだろうと心待ちにしていた頃が懐かしい。たしか、この短編集以外にも未収録の読切があったハズなんですが、さすがにもう読めないかな…。